NHK朝の連続テレビドラマ「おしん」は1983年(昭和58年)に放映され、日本国内で空前のブームを起こしたほか、海外でも大変な人気を博しました。
このブログ記事では、中国での「おしん」人気、おしんの中国映画賞受賞、田中裕子出演の中国ドラマ「蒼穹の昴」などについて紹介します!
おしんは中国でも大ヒット!胡錦濤・前国家主席もおしん好き

中国では1985年3月から、「阿信(アーシン)」として中国語の吹き替えで放送されました。
北京での視聴率は75.9%を記録!(※1)
当時の中国では、1台の白黒テレビを大勢の人が囲み、異国の少女おしんの運命に涙を流したのだそうです。

2006年にはデジタルリマスター版が再放送され、そのときにも高い視聴率を記録し、累計1億人もの人が視聴したとか。(※2)
なんと胡錦濤・前国家主席も「おしん」好きで知られ、2008年に日本人記者団との会見で「主人公が自ら励み、苦労の末に創業した精神は、とても深い印象を残してくれた」と語りました。(※3)
- ※1:NHKアーカイブス 番組エピソード「連続テレビ小説『おしん』」
- ※2:2019年5月29日 exciteニュース「中国でかつて視聴率80%を記録したドラマは『なんと日本のドラマだった』=中国メディア」
- ※3:2021年4月5日 読売新聞「おしんはバイブル」中国で橋田さん悼む声…書き込みで「人の心を温めてくれる作品」
映画「おしん」が中国版アカデミー賞を受賞!

2013年には映画「おしん」が制作され、監督を山形県出身の冨樫森氏が務めました。
主役・おしんに、オーディションで約2500人の中から選ばれた濱田ここね。母・ふじ役には上戸彩。

おしんの奉公先「加賀屋」の若奥様「みの」役で、かつての子役・小林綾子も出演!
この映画は公開前から、既に11ヶ国から上映オファーが来ていて、中国でも公開されました。(※1)
そして、中国本土最大の映画祭「第22回金鶏百花映画祭」で国際映画部門最優秀作品賞を受賞!

同映画祭は「中国版アカデミー賞」と言われ、国際部門で日本映画が最優秀作品賞を受賞するのは初めての快挙でした。(※2)
30年前に大ヒットした「おしん」の映画版であることと、中華圏で人気を誇る台湾のロックバンド・Mayday(五月天)が主題歌を手掛けていたことで、中国でも非常に注目されていた作品なのだそうです。

★↓イランで視聴率90%!エジプトでは暴動発生?他国でのおしんブームについてはコチラ
田中裕子が西太后にそっくり!?日中共同制作ドラマ「蒼穹の昴」も話題に
2010年には日中共同撮影ドラマ「蒼穹の昴」が制作され、日本ではNHKで放映されました。
中国清朝末期の紫禁城を舞台にくり広げられる壮大な歴史ドラマで、原作は新田次郎。

シリーズ累計500万部を超える大ベストセラーになり、ドラマ化が待望されていましたが、舞台がすべて清朝末期の中国であることから日本での実現は難しいとされていました。
日中双方のプロダクションが協力することで撮影が実現し、「おしん」の主演女優・田中裕子さんが西太后を演じました。

約30年前のおしんブームで、中国でも絶大な知名度を誇る田中さん。光緒帝(西太后の甥)を演じた中国人俳優の張博さんは、田中裕子さんについて「僕の両親のアイドルでした」とコメントしています。(※1)
しかし日本人女優が中国人役、しかも清朝の権力者を演じるのは容易なことではありません。田中さんは西太后を演じるため、中国の歴史に関する知識を学び、事前に故宮や頤和園を訪れたそうです。(※2)

またこの撮影は、日本人俳優が日本語、中国人俳優が中国語でセリフをしゃべり、後から吹き替え音声をかぶせるというもの。ベテラン女優の田中さんも「相手が何を言ってるかわからなくて、自分が次のセリフに入るきっかけがわからなかった」と苦戦しました。(※1)
稀代の悪女と呼ばれる西太后・・・

実は中国人が演じたがらず、キャスティングが難航した結果、日本人の田中裕子さんが演じることになったのだとか。
田中さんは「悪役とされている人物の心の中にある悲しみや喜びの心の揺れを演じたい」(※1)と全力で演じ、「私の役者人生の中で、忘れられない役のひとつです」と語っていました。(※3)
- ※1:2010年8月31日 ORICON NEWS「“おしん”田中裕子、中国若手俳優から『両親のアイドルでした』とリスペクト」
- ※2:2009年8月3日 人民中国 段非平「田中裕子 言葉の壁を心で越える 全力で演じる西太后」
- ※3:2010年3月12日 チャイナネット「おしんが戻ってきた!①西太后役は忘れられない」
田中裕子は中国で「好きな日本人女優」●位!
2015年に日本の雑誌「サピオ」(小学館)が、「中国で最も人気のある日本人女優」についてアンケート調査を行いました。
この調査は中国情報サイト「レコードチャイナ」の協力により、北京や上海など4都市で、50代以上の男性30人に街頭アンケートを行なったものです。
結果は・・・
- 1位:山口百恵
- 2位:田中裕子
でした!
山口百恵さんは、文化大革命後の1980年代初頭にドラマ「赤いシリーズ」が中国全土で放送された影響だそうです。
そして田中裕子さんは間違いなく、中国でも高視聴率を誇った「おしん」の影響ですね!
※:2015年5月21日 NEWSポストセブン「50代以上中国人 好きな日本人女優は1位山口百恵2位田中裕子」
★↓田中裕子の若い頃の画像と生い立ち、女優になった理由はコチラ
中国から寄せられた「おしん」への反応
中国では、「おしん」の視聴者から次のような反響があったそうです。
登場する日本人たちが現在の経済大国の底力であったことがわかり納得できた。
https://www2.nhk.or.jp/archives/search/special/detail/?d=asadra014
中国と日本に共通した伝統的な倫理観が根ざしている。だから我々は何の抵抗もなくこのドラマを受け入れることができた。
https://www2.nhk.or.jp/archives/search/special/detail/?d=asadra014
おしんを見て、日本民族の勤勉さを理解した。(70代・元教師)
https://www.news-postseven.com/archives/20150521_320472.html
振り返れば、おしんの放送当時が中日友好回復40年のピークだった。(70代・元公務員)
https://www.news-postseven.com/archives/20150521_320472.html
脚本家・橋田寿賀子さんが2021年に亡くなった際には、中国では微博(ウェイボー)などインターネット上に、哀悼の声が多数寄せられました。
おしんはバイブルだった。
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20210405-OYT1T50183/
(橋田さんは)人の心を温めてくれる作品を書いてくれた。
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20210405-OYT1T50183/
とても感動したし、今でもテーマソングを口ずさめる。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-57353797
橋田寿賀子さんの緻密な脚本と、女優・俳優陣の熱演が、日中の国境をこえて心を動かしたことがわかりますね!
★↓橋田壽賀子の長いセリフに田中裕子が倒れて入院?おしん撮影秘話はコチラ
まとめ
この記事では、中国での「おしん」人気、おしんの中国映画賞受賞、田中裕子出演の中国ドラマ「蒼穹の昴」などについて紹介しました。
近年は中国をめぐる国際状況も急変しています。
政治経済レベルでは困難がたくさんありますが、「おしん」は名作!
それぞれの国に暮らす人々が同じドラマに感動し、気持ちを通わせることができればいいなと思います。
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